児童書・海外

『父さんのゾウ』(ピーター・カーナバス)

父さんのゾウ (文研ブックランド)文研出版Amazonオリーブは父さんとおじいちゃんと一緒に暮らしています。母親はオリーブが幼いときに亡くなっていました。父さんはその悲しみにずっと囚われています。オリーブには父さんのゆううつが、巨大なはい色のゾウに…

『フードバンクどろぼうをつかまえろ!』(オンジャリ Q.ラウフ)

秘密の大作戦! フードバンクどろぼうをつかまえろ!作者:オンジャリQ.ラウフあすなろ書房Amazon困窮家庭の子どもネルソンは、いつもおなかをすかせています。ネルソンが大好きなのは、学校の朝食クラブと、フードバンク。しかし、フードバンクの食料がなぜか…

『ロンドン・アイの謎』(シヴォーン・ダウド)

ロンドン・アイの謎作者:シヴォーン・ダウド東京創元社Amazonカーネギー賞受賞作『ボグ・チャイルド』やパトリック・ネスが書き継ぎ映画化もされた『怪物はささやく』などで知られるシヴォーン・ダウドの久しぶりの邦訳が登場。シヴォーン・ダウドはわずか2…

『うみべの おはなし3にんぐみ』(ジェイムズ・マーシャル)

うみべの おはなし3にんぐみ作者:ジェイムズ・マーシャル大日本図書Amazon海辺で遊んでいたローリー・サム・スパイダーの3人組が、順番に自作のお話を語りあうという内容の絵童話です。 はじめのローリーのお話は、ねこと犬を見たねずみが「あ、ねこと犬だ」…

『住所、不定』(スーザン・ニールセン)

住所,不定 (STAMP BOOKS)作者:スーザン・ニールセン岩波書店Amazon『ぼくだけのぶちまけ日記』に続き、カナダの児童文学作家スーザン・ニールセンの作品が岩波STAMP BOOKSから刊行されました。母親とふたりキャンピングカーでホームレス生活を送る12歳少年の…

『くまのピエール』(イブ・スパング・オルセン)

くまのピエール作者:イブ・スパング・オルセンこぐま社Amazonデンマークのぬいぐるみ童話。ちょっと頑固で思いこみの激しいくまのピエールが巻き起こすほほえましい騒動が描かれます。 第1話は、おもちゃ屋で番犬代わりに置かれていたピエールがスティーヌと…

『空から見える、あの子の心』(シェリー・ピアソル)

空から見える、あの子の心作者:シェリー・ピアソル童心社Amazonはぐれ者のエイプリルは、同級生との関わりを避けるために下級生の世話をする『友だちベンチ』係に志願しました。エイプリルが気になっているのは、エイプリルよりさらに変わり者のジョーイ。あ…

『火守』(劉慈欣)

火守作者:劉 慈欣KADOKAWAAmazon世界的ベストセラーSF『三体』で知られる劉慈欣の、現時点で唯一の童話作品だそうです。 劉慈欣著・池澤春菜訳・西村ツチカ絵。思わず二度見三度見してしまうような豪華な布陣です。こんな強い布陣が許されるのか、なんらかの…

『ライトニング・メアリ 竜を発掘した少女』(アンシア・シモンズ)

ライトニング・メアリ 竜を発掘した少女作者:アンシア・シモンズ,カシワイ岩波書店Amazonライトニング・メアリ 竜を発掘した少女久しぶりに純度の高い「少女」を摂取した気がする。年取って丸くなってからコカコーラ一気飲みして「っかー??」みたいな読後感…

『ガラスの顔』(フランシス・ハーディング)

ガラスの顔作者:フランシス・ハーディング東京創元社Amazon表情を持たない人々が生活する地下の洞窟都市カヴェルナを舞台としたファンタジー。チーズ作りの匠に助けられた記憶喪失の少女ネヴァフェルは、階層世界であるカヴェルナを駆け回り、都市を揺るがす…

『サムデイ』(デイヴィッド・レヴィサン)

サムデイ (Sunnyside Books)作者:デイヴィッド・レヴィサン小峰書店Amazon毎日別の人間に憑依する精神寄生体のAと人間のリアノンの恋物語『エヴリデイ』の続編。ひとりの人間の体を乗っ取って連続した人生を送る方法があることを知ったAですが、それを実行す…

『ぼくたちのスープ運動』(ベン・デイヴィス)

ぼくたちのスープ運動: 小さな思いやりが世界を変える!作者:ベン・デイヴィス評論社Amazonイギリスの社会運動児童文学。都会から田舎に引っ越してきた少年ジョーダンは、あるきっかけでホームレスにスープを差し入れする活動を始めます。インフルエンサーを…

『世界を超えて私はあなたに会いに行く』(イ・コンニム)

世界を超えて私はあなたに会いに行く作者:イ・コンニムKADOKAWAAmazon振り返ってみると2021年は、書簡体時間SFの当たり年だったんですね。SFファンの多くは毎月伴名練の連載『百年文通』を楽しみにしていましたし、ヒューゴー賞他多数の賞を受賞したという触…

『子供の詩の庭』(ロバート・ルイス・スティーヴンソン/作 マートル・シェルドン/絵)

子供の詩の庭作者:R・L・スティーヴンソン毎日新聞出版Amazon HAPPY THOUGHT The world is so full of a number of things, I'm sure we should all be as happy as kings, 『宝島』『ジキル博士とハイド氏』のスティーヴンソンの詩集。翻訳は池澤春菜と池澤…

『小さな手  ホラー短編集4』(金原瑞人/編訳)

小さな手 ホラー短編集4 (岩波少年文庫 627)作者:佐竹 美保岩波書店Amazon佐竹美保のカバーイラストがいいですね。美しい並木の奥には、さぞかし楽しく魅惑的な世界が待っていることでしょう。読者を歓待しようという本の作り手のまごころが伝わってきます。…

『ミョンヘ』(キム ソヨン)

ミョンヘ (YA! STAND UP)作者:キム ソヨン影書房Amazon1910年代を舞台とした韓国の児童文学。この作品の空気は、第1章の冒頭ですぐにわかります。主人公は良家の娘ミョンヘ。冬の日に輿に乗っていとこの結婚式に赴く場面から、物語は始まります。ゆれる輿が…

『おてんばヨリーとひげおじさん』(アニー・M.G.シュミット/作 フィープ・ヴェステンドルプ/絵)

おてんばヨリーとひげおじさん作者:アニー・M.G.シュミット,フィープ・ヴェステンドルプ岩波書店Amazonオランダを代表する児童文学作家の1990年の作品の邦訳が登場。今日は新しい特急列車を出発させる日。運輸大臣・環境大臣や、名前が難しくて誰も覚えられ…

『タフィー』(サラ・クロッサン)

タフィー (STAMP BOOKS)作者:サラ・クロッサン岩波書店Amazon自分の誕生とともに母親を喪った少女アリソンの物語。その後父親には多くの恋人ができますが、みんなDVのために別れてしまいます。直近の婚約者だったケリーアンも逃げ出した後、アリソンも虐待に…

『くしゃみおじさん』(オルガ・カブラル)

くしゃみおじさん作者:オルガ・カブラル,山村 浩二岩波書店Amazon主人公は、ある家の裏庭に住むうさぎとねこといぬ。うさぎは白くて長い耳、ねこは黒くて小さい耳、いぬは大きな声を自慢にしていました、ところが、通りかかった廃品回収業のおじさんがすさま…

『王さまとかじや』(ジェイコブ・ブランク/文  ルイス・スロボドキン/絵)

王さまとかじや作者:ジェイコブ ブランク徳間書店Amazon四六時中大臣たちに管理されていてまったく自由がない8才の王さまの物語。日本の読者は寺村輝夫の王さまが思い出されるところです。ただしこっちの方が大臣の数が桁外れで、算数大臣・地理大臣・衣装大…

『クモのアナンシ  ジャマイカのむかしばなし』(フィリップ・M.シャーロック再話)

クモのアナンシ――ジャマイカのむかしばなし作者:フィリップ・M.シャーロック岩波書店Amazon嘘つきで悪賢いクモのアナンシを主人公にしたカリブの島の昔話集。本のデザインがいかにも昔ながらの岩波の本といった感じで落ち着いていて、信頼感を持たせてくれ…

『森の王さま キング・クー』(アダム・ストーワー)

森の王さま キング・クー作者:アダム・ストーワー小峰書店Amazon 「ぶれいもの! わたしは、ひげもじゃの女の子だ!」 「女の子なら、キングじゃなくてクイーンじゃないの?」 「ばかを言うな! ひげもじゃのクイーンがどこにいる?」 学校のならず者たちに…

『おれの墓で踊れ』(エイダン・チェンバーズ)

おれの墓で踊れ作者:エイダン チェンバーズ徳間書店Amazonおれの墓で踊れ (徳間文庫)作者:エイダン・チェンバーズ徳間書店Amazon1982年にイギリスで刊行されたYAの古典的名作が文庫化。同性愛テーマのYAの先駆けとしても名高い作品です。 タイトルが鮮烈…

『フレディ・イェイツのとんでもなくキセキ的な冒険』(ジェニー・ピアソン)

フレディ・イェイツのとんでもなくキセキ的な冒険作者:ジェニー・ピアソン岩崎書店Amazonフレディとベンとチャーリーの3人組は、あまり楽しくない夏休みを迎えようとしていました。フレディはおばあと家でゴロゴロするだけ、ベンは宝くじを当てた父親に金目…

『ミシシッピ冒険記 ぼくらが3ドルで大金持ちになったわけ』(ダヴィデ・モロジノット)

ミシシッピ冒険記〈ぼくらが3ドルで大金持ちになったわけ〉作者:ダヴィデ・モロジノット岩崎書店Amazon時代は1904年のルイジアナ州。天性の冒険野郎テ・トワ、シャーマンのエディ、決して泣かない少女ジュリー、内に輝かしい知性を秘めたティト、この仲良し…

『プロクター博士のおならパウダー』(ジョー・ネスボ)

プロクター博士のおならパウダー (ハヤカワ・ジュニア・SF)作者:ジョー ネスボ早川書房Amazon 「意味のないおならブーブーを、いちばんよろこぶのは?」 「ふむ」博士が答える。「そりゃ、子どもだ。ついでに、ちょっと子どもっぽい大人も好きだろうな」 「…

『ぼくのがっかりした話』(セルジョ・トーファノ)

ぼくのがっかりした話 (シリーズ再生の文学)作者:セルジョ・トーファノ英明企画編集Amazon第一次世界大戦の時代のイタリアで雑誌連載された作品。カルヴィーノの『マルコヴァルドさんの四季』の挿絵なども手がけた著者自身による挿絵も雑誌掲載時のままで収…

『分解系女子マリー』(クリス・エディソン)

分解系女子マリー作者:クリス・エディソン小学館Amazonマリーはものを分解するのが好きな工学女子。自分の趣味のためと、多発性硬化症を患っている母を助けるために、トップレベルの科学を学びたいと願っていました。そんなマリーのもとに世界的なIT企業のバ…

『ゴリランとわたし』(フリーダ・ニルソン)

ゴリランとわたし作者:フリーダ・ニルソン岩波書店Amazon2005年刊行のスウェーデンの児童文学の邦訳が登場。著者のフリーダ・ニルソンは、リンドグレーンと並び称されるほどの高い評価を受けている作家だそうです。 主人公は、あまり環境のよくなさそうな施…

『パラゴンとレインボーマシン』(ジラ・ベセル)

パラゴンとレインボーマシン作者:ジラ・ベセル小学館Amazonまずは、虹色のエフェクトとともに屹立するロボットのかっこよさが際立つカバーイラストを堪能しましょう。 水が不足して戦争が起こりインフレも発生して生活が大変になった近未来のイギリスを舞台…