2021-01-01から1年間の記事一覧

『ぼくらのスクープ』(赤羽じゅんこ)

ぼくらのスクープ (文学の扉)作者:赤羽 じゅんこ講談社Amazonイダッチと魔王は、5年1組のたったふたりだけの新聞係。イダッチは社会科見学で出会った新聞記者に感化され、学級新聞にすごいスクープを載せようと意気込んでいました。魔王はいつも「魔王」とい…

『ミシシッピ冒険記 ぼくらが3ドルで大金持ちになったわけ』(ダヴィデ・モロジノット)

ミシシッピ冒険記〈ぼくらが3ドルで大金持ちになったわけ〉作者:ダヴィデ・モロジノット岩崎書店Amazon時代は1904年のルイジアナ州。天性の冒険野郎テ・トワ、シャーマンのエディ、決して泣かない少女ジュリー、内に輝かしい知性を秘めたティト、この仲良し…

『イナバさんと雨ふりの町』(野見山響子)

イナバさんと雨ふりの町作者:野見山響子理論社Amazonちょっとぼんやりしているため不思議な世界に迷いこみやすい体質のイナバさんを主人公とする『イナバさん!』の続編。イナバさんは今回もみっつの奇妙な世界と遭遇します。 第1話の「イナバさんと雨ふりの…

『プロクター博士のおならパウダー』(ジョー・ネスボ)

プロクター博士のおならパウダー (ハヤカワ・ジュニア・SF)作者:ジョー ネスボ早川書房Amazon 「意味のないおならブーブーを、いちばんよろこぶのは?」 「ふむ」博士が答える。「そりゃ、子どもだ。ついでに、ちょっと子どもっぽい大人も好きだろうな」 「…

『ぼくのがっかりした話』(セルジョ・トーファノ)

ぼくのがっかりした話 (シリーズ再生の文学)作者:セルジョ・トーファノ英明企画編集Amazon第一次世界大戦の時代のイタリアで雑誌連載された作品。カルヴィーノの『マルコヴァルドさんの四季』の挿絵なども手がけた著者自身による挿絵も雑誌掲載時のままで収…

『予測不能ショートストーリーズ  文化祭編』(にかいどう青)

予測不能ショートストーリーズ 文化祭編作者:にかいどう 青,タダノ なつ講談社Amazon『恋話ミラクル1ダース』に続く、にかいどう青のショートストーリー集。Y市立未良来中学校の文化祭期間の物語が12編収録されています。現在の児童文学界でもっとも物語を…

『先生、感想文、書けません!』(山本悦子)

先生、感想文、書けません!作者:山本 悦子童心社Amazon八月一日の登校日にひとりだけ宿題の読書感想文を書けなかったみずかは、「わたしには、感想文、むり!」と堂々と言い放ちます。帰り道に友だちのあかねと感想文が書けない理由を話し合ったみずかは、あ…

『分解系女子マリー』(クリス・エディソン)

分解系女子マリー作者:クリス・エディソン小学館Amazonマリーはものを分解するのが好きな工学女子。自分の趣味のためと、多発性硬化症を患っている母を助けるために、トップレベルの科学を学びたいと願っていました。そんなマリーのもとに世界的なIT企業のバ…

『トムと3時の小人』(たかどのほうこ・平澤朋子)

トムと3時の小人 (GO!GO!ブックス 1)作者:たかどの ほうこポプラ社Amazon母と散歩中にふらっと入った古道具屋で『トムと3時の小人〈下〉』という本を見つけて興味を持った少年つとむの物語。そのときは手に入れ損ねたので、図書館で探そうとしますが、思いが…

『お江戸豆吉 けんか餅』(桐生環)

けんか餅 (お江戸豆吉)作者:桐生 環フレーベル館Amazon第2回フレーベル館ものがたり新人賞優秀賞受賞作。主人公の豆吉は『鶴亀屋』という江戸で評判の菓子屋で働いている少年。彼の悩みの種はけんかっ早い若旦那でした。客と大げんかをした若旦那はとうとう…

『ろくぶんの、ナナ』(林けんじろう)

ろくぶんの、ナナ作者:林 けんじろう岩崎書店Amazon第17回ジュニア冒険小説大賞受賞作。遠足でひとりだけ迷子になってしまった小学5年生のナナは、ボロっちいあやしげなお土産屋さんに迷いこみ、不思議なサイコロをもらいます。そのサイコロには目ごとに異な…

『ゴリランとわたし』(フリーダ・ニルソン)

ゴリランとわたし作者:フリーダ・ニルソン岩波書店Amazon2005年刊行のスウェーデンの児童文学の邦訳が登場。著者のフリーダ・ニルソンは、リンドグレーンと並び称されるほどの高い評価を受けている作家だそうです。 主人公は、あまり環境のよくなさそうな施…

『サマークエスト』(北山千尋)

サマークエスト (フレーベル館文学の森)作者:北山千尋フレーベル館Amazon第2回フレーベルものがたり新人賞優秀賞受賞作。小学校6年生のヒロキは、仲良くしている*1新が夏休みにおこなわれる子ども会主催の学校での宿泊行事に参加することを知り、一緒に申し…

『夏のカルテット』(眞島めいり)

夏のカルテット (カラフルノベル)作者:眞島 めいりPHP研究所Amazon描写力が圧倒的だったデビュー作『みつきの雪』で児童文学ファンを震撼させた眞島めいりの第2作。たまたま図書委員で同じ班になった中学1年生4人が、夏休みのグループ研究で音楽活動をする物…

『パラゴンとレインボーマシン』(ジラ・ベセル)

パラゴンとレインボーマシン作者:ジラ・ベセル小学館Amazonまずは、虹色のエフェクトとともに屹立するロボットのかっこよさが際立つカバーイラストを堪能しましょう。 水が不足して戦争が起こりインフレも発生して生活が大変になった近未来のイギリスを舞台…

『12歳のロボット ぼくとエマの希望の旅』(リー・ベーコン)

12歳のロボット ぼくとエマの希望の旅 (ハヤカワ・ジュニア・SF)作者:リー・ベーコン早川書房Amazon待望の「ハヤカワ・ジュニア・SF」第1弾が登場。エピグラフで『ホモ・デウス』の「生き物とはアルゴリズムである」という文言が引用されてるのに、まず驚…

『時間色のリリィ』(朱川湊人)

時間色のリリィ作者:朱川湊人偕成社Amazon小学5年生のロミの前に、同じ塾に通っている園内くんがおでこにシールを貼ったオチャメスタイルで現れ、「『ミコミコぷろだくしょん』って、知らない?」と意味不明な質問をしてきました。どうやら園内くんは、公園…

『ランペシカ』(菅野雪虫)

ランペシカ作者:菅野 雪虫講談社Amazon少年チポロが悪い魔物ヤイレスーホにさらわれ監禁された幼なじみのイレシュを救い出すという古典的な英雄譚『チポロ』。ヤイレスーホのイレシュへの恋心と、父の敵討ちのためヤイレスーホの魔力を求めやがてヤイレスー…

『わたしの気になるあの子』(朝比奈蓉子)

わたしの気になるあの子 (ノベルズ・エクスプレス 49)作者:朝比奈 蓉子ポプラ社Amazon小学6年生の瑠美奈と詩音の視点が交互に入れ替わる構成になっています。瑠美奈の祖父は時代錯誤の家父長制ジジイで、ごたいそうな家でもないのにいつも跡継ぎがどうとか妄…

『ガラスの犬 ボーム童話集』(フランク・ボーム)

ガラスの犬 ボーム童話集 (岩波少年文庫 255)作者:フランク・ボーム岩波書店Amazon本邦初訳のボーム童話集。ボームといえば、やはりアメリカでファンタジーを成立させたということが重要で、この作品集の「作者のことば」ではこのようなことが述べられていま…

『時計がない!』(小松原宏子)

時計がない! (文研ブックランド)作者:小松原宏子文研出版Amazonカバーイラストの圧が……。SFの読者であればこのカバーイラストを見た瞬間にハーモニーとかアステリズムとかいう単語が思い浮かび、ある先入観を抱くはずです。 「誕生日プレゼントはなにがほし…

『りぼんちゃん』(村上雅郁)

りぼんちゃん (フレーベル館文学の森)作者:村上雅郁フレーベル館Amazon目利きの読者のあいだで話題沸騰の新人村上雅郁の第3作が、早くも刊行されました。背が低いためにクラスで赤ちゃん扱いされている朱理は、先生から転校生の理緒の世話を頼まれます。ふた…

『月にトンジル』(佐藤まどか)

月にトンジル (読書の時間 8)作者:佐藤まどかあかね書房Amazonトールとダイキとシュンとマチの4人は、「テツヨン」という仲良しグループを作っていて、土曜の午後は必ずみんなで公園に集まって遊ぶ習慣になっていました。しかし、メンバーのひとりのダイキが…

『オイモはときどきいなくなる』(田中哲弥)

オイモはときどきいなくなる (福音館創作童話シリーズ)作者:田中 哲弥福音館書店AmazonライトノベルやSFの分野でカルト的な人気を誇る田中哲弥が児童書出版の老舗福音館書店から突如『鈴狐騒動変化城』という上方落語テイストの傑作児童文学を発表してから7…

『チョコレートのおみやげ』(岡田淳)

チョコレートのおみやげ作者:岡田 淳ビーエル出版Amazon五年生のゆきちゃんは、母の妹のみこおばさんと異人館・港というデートコースで遊んでいました。公園のベンチに座ってチョコレートを食べていると、みこおばさんは「時間がとけていくみたい」と謎めい…

『ボーダレス・ケアラー 生きてても、生きてなくてもお世話します』(山本悦子)

ボーダレス・ケアラー: 生きてても、生きてなくてもお世話します作者:山本悦子理論社Amazon「鬼ヶ島通信」連載作に加筆を加えた作品です。大学生の海斗は親の命令で、祖母の世話をすることになります。愛犬の豆蔵が死んで以来誰もつながっていないリードを持…

『おれは女の子だ』(本田久作)

おれは女の子だ (ポプラ物語館 85)作者:本田 久作ポプラ社Amazonピンク色が好きなために「女の子みたいだ」とからかわれたすばるは、「おれは女の子だよ」と宣言、そのことを家で話すと姉たちからピンク色のシャツを着たりスカートをはいたりして学校に行く…

『ドリーム77』(金重剛二)

1969年理論社刊。導入部のイラストがよいです。大きな木の根元にトンネル状の穴が空いていてそこを機関車が通ってるという、別世界の入り口としてとても魅力的なものになっています。光一くんはおかあさんと博物館から抜け出してきたようなこの古い機関車に…

『帰れ 野生のロボット』(ピーター・ブラウン/作・絵)

帰れ 野生のロボット (世界傑作童話シリーズ)作者:ピーター・ブラウン福音館書店Amazonかつて無人島に漂着してサバイバルし、野生を獲得してガンのキラリという息子も得て母親になったロボットのロズの物語『野生のロボット』の続編。破壊された身体の修理の…

『さいごのゆうれい』(斉藤倫)

さいごのゆうれい (福音館創作童話シリーズ)作者:斉藤倫福音館書店Amazon小5の夏休み、おばあちゃんの家に預けられたハジメは、滑走路を外れ空き地に着陸した飛行機から降りてきた女子ネムと出会います。自分は「さいごのゆうれい」であるというネムを「ほご…